美少女キャラクターとの“交際”をテーマにしたゲーム「ラブプラス」が人気になるなど、美少女・恋愛ゲームの新作がヒットし、ここ5年で最高の売 上数を記録した当たり年となった09年。「ときメモ」シリーズの最新作「ときめきメモリアル4」(コナミデジタルエンタテインメント)が発売された。15 年以上にわたって人気を集める恋愛シミュレーションの“元祖”の魅力を探った。【河村成浩】
「ときめきメモリアル」は、平凡な男子高校生が能力を磨きながら、女の子たちとデートなどの交流を重ね、最後に女の子から告白される……というゲームだ。94年にハドソンの家庭用ゲーム機「PCエンジン」向けに発売された。
「ときメモ」の誕生のきっかけは、マーケティング分析だった。当時のゲーム開発は、開発者が「いいと思うソフトを出す」という作家的な風潮が強 かったが、「ときメモ」を生み出した齋藤幹雄さんらのチームは、入手可能な市場のデータを手に入れて、「どうすれば楽しいゲームになるか」を考えたとい う。データからは、PCエンジンでは奇麗なCGが持ち味でアニメ好きのファンが多いことが分かり、美少女キャラを出すアイデアにつながった。さらにPC ゲームで話題となった育成ゲームの要素を取り込む結論に至った。
だが、「コナミ」(当時)は、シューティングゲーム「グラディウス」などを手掛ける硬派なメーカーで、美少女キャラを表に出す「ときメモ」には、 社内でも「企業イメージに合わないのでは」という意見もあったという。齋藤さんら開発チームも「確かに美少女ゲームが出るのは唐突だが、市場は確実にあ る」と説得。最終的なゴーサインを勝ち取り、発売にこぎつけた。
狙いは的中した。美少女キャラクターがアニメのようにしゃべる演出、女の子との擬似恋愛が楽しめる設定、育成システムの完成度の高さ……。パソコ ン通信では「とんでもないゲームが出た」と手放しで絶賛され、うわさは静かに広がっていった。東京・秋葉原では、ソフトが入荷すれば飛ぶように売れてい く。PCエンジンのユーザー以外からも注目され、PS版が発売されると、人気は爆発し、99年に設定を一新した「2」もヒットした。「ときメモ」はブーム となった。さまざまなメディアで取り上げられ、ときには「恋愛しない若い男性が増えた。ゲームが悪影響を与えている」という取り上げ方もされたが、齋藤さ んは「(コメンテーターや識者は)立場で言っているだけ。(バッシングは)気にしなかった」と振り返る。
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