あどせんす!

2009年3月29日日曜日

PS3「PixelJunk Eden」グラフィックス&サウンド担当のBaiyon氏が講演

PS3「PixelJunk Eden」グラフィックス&サウンド担当のBaiyon氏が講演
全て手付けで作られた「いつ停止しても格好いい」ゲーム世界


 Game Developers Conference 2009の最終日となった27日、有限会社キュー・ゲームスが配信中のプレイステーション 3用オーガニック・プラットフォーム・アクション「PixelJunk Eden」のグラフィックスとサウンドを手がけたBaiyon Tomohisa Kuramitsu氏が講演を行なった。

 講演タイトルは「PIXELJUNK EDEN - Baiyon's CMYK vision」。「PixelJunk Eden」で描かれる特徴的な植物のビジュアルをどのように作ったのか解説するとともに、Baiyon氏自身初となるゲーム開発にどういう思いで取り組んだかが語られた。

■ インクを垂らして植物をデザインする

 Baiyon氏はイラストやサウンドを手がけるマルチアーティストだが、ゲーム作りには未経験。ただ、映像と音楽が融合するメディアであるビデオゲームは以前から作ってみたかったのだという。ある時、Baiyon氏は知り合いのゲームクリエイターに事務所で開いていたパーティーに誘われ、そこでキュー・ゲームスの社長のDylan氏と出会い、Baiyon氏がゲームを作りたいという話をしたら、いまちょうど新しい企画があるという話になり、「PixelJunk Eden」の開発が始まることになる。

 Baiyon氏の行なった開発作業は、「サウンドとビジュアルをやっているから、そこにどうプレイの部分をあたえていくのかを打ち合わせしてディテールをつめていった」というものだという。ただゲームとしての遊びの部分はほぼノータッチで、サウンドとビジュアルをBaiyon氏の納得できる世界に突き詰めることだけに集中していたようだ。

 コンセプトは、音楽で気持ちいい感覚になるというもの。「音楽と絵が合わせて動いているだけで面白いと思ったが、メディアートを作っているのではないので、この世界でどう冒険するかを探さなければいけなかった」という。これについては、10ステージ(本作では“ガーデン”と呼んでいる)をCDのアルバムに見立てて全体を組み立てたという。

 ゲーム内容を決める際には、Baiyon氏がディレクターにポートフォリオを見せた。その中から森のグラフィックスがピックアップされ、「音楽に合わせて植物が生えてくるのはどうか」と提案され、Baiyon氏はそれにあわせたコンセプトアートを作った。「1つ1つが動いていて、生きたり死んだり繰り返しているイメージ。コンセプトアートに絵コンテをつけて、こんな動きをするとか、このパーツはこんな役割だとか付け加えて渡した」という。開発はこのアートをベースに、「ダンスミュージックの快楽原理をゲームプレイに融合させる」という形で進められた。

 その第1歩として挑戦したのが、植物を描くためのテクノロジー。「生きているような植物にしたかった」というBaiyon氏は、ランダムな動きや物理系さんなど、テクニカルな部分をプログラマと一緒に実験していった。「ランダムに枝が生えたり、変な形になったりといったものをプログラムで表現すると面白くなるのではないか」と最初は期待していたBaiyon氏だったが、このやり方では思い描いていたクオリティのものは描けなかったという。最終的に、ランダムな動きはやめ、1つ1つ手で動きをつけることになった。「ランダムにするなら、無意識なものを手で描いてしまったほうが早い」といい、Baiyon氏が描いたテクスチャを渡して再現してもらう形で進められることになった。

 植物の独特な外見を作る方法の1つとして、墨汁やインクを垂らしたりしてランダムなものを描くという手法を紹介した。インクが垂れて伸びている部分を枝に見立てたりして、不要なものを取りつつ、パーツを書き加えることで、不思議な外見をした植物を作っていったという。

 またグラフィックスについて気をつけた部分として、「紙だと1枚のグラフィックスで1つの作品だが、『PixelJunk Eden』の植物は動くし、プレーヤーはこちらが思わないような動きをする。いつ停止しても格好いいという風にしたかったので、ものすごく苦労した」と、アーティストらしいこだわりも見せた。


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